親父が亡くなった後、遺品整理をしていたら縄で縛られた女性が悶絶する類の小説やDVDが山と出て来た。
恥ずかしくてブック・オフにも持って行けなかったのか、さりとて捨てるのも悪いと感じたのか(捨てろよ)母は私を実家に呼びつけ『遺族を代表してあんたがこれらを貰いなさい』ときた。あんな遺産相続ってあるんだろうか。
とはいえ私も男だ。亡き父の形見に緊張(わくわく)しながらも目を通す事にした。一体どんな助平…もとい、内容なんだろう、と。どきどき…。
ところがその内容は私が想像していたものとまるで違っていた。
“匠”と呼ばれる男達が縛り方の美しさを競い、出来上がった作品を360度ゆっくり見せるというだけの、まるで【生け花コンペ】のような内容か、或いは延々結び方のテクを指南する【教則ビデオ】のような内容ばかりだったのだ。助平ゼロ。世のAVとは一線を画す、本当の意味で耽美を追究する人向けのビデオ。玄人向けHOW TO ビデオだったのである。
私は職人達の腕前にぽかーんとなりながら思った。親父は“縄師”になりたかったに違いない、と。
かように、どこの家庭にも知らなくていい闇の部分があるのだ。ww
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