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イラストレーター、DJ ヨシダキョウベイ[Kyobei]/大阪芸術大学美術学科中退/伊勢志摩マニア お仕事のご依頼は kyobeya@gmail.com まで。

2011年12月22日木曜日

限りなく漆黒に近いナニワ

師走の大阪をかけめぐると、身体が冷える上、腹も減る。という事で、今日はおでんであったまろうと思い、某所へと向かいました。何故、某所と記したかと言うと、今回ばかりはあまり人に教えたくないのです。なぜ教えたくないかと言うと非常に美味しいから内緒にしたいのです。内緒にして独占したいのです。
ならば、わざわざブログにて発信する事もなかろう、心の中にしまっておけよアホンダラとのご指摘、ご指南、ご指弾を受けるのは百も承知なのですが、黙る事数分、口の傍がむずむずしてやみません。
 どうやら私は、旨いものを食べ、なおかつその店があまりに世間に知られていないとなると、自慢がしたくて仕方ない性分のようなのです。隠したいのに自慢したいというどこか恋に似た(いや違うな)ねじれ現象を引き起こしております。なので今回は不親切モード全開。皆様にとって非常に不愉快な形で紹介させて頂く事をあらかじめご了承下さい(笑)。

大阪市内の東側にあるこのお店、はっきり言って地元の住民にしか知られてないのか、昼ごはん時にやや忙しくなる程度で、お世辞にも繁昌しているとはいえません。今日も昼一時過ぎに暖簾をくぐると既にお客は誰もいませんでした。テーブルにて店主一人ぽつねんとごはんを食べていたくらいです。
あ、もちろん今回は店内の写真もアップしません。申し訳ありません。意地悪ですか?と問われたら、そのとおりですと答えたくもあります。なんせ自慢したいが教えたくないという非道極まりない思いに基づき書いていますもので。おほほ。

…と、徹底して情報を少なくしていると、いつか腹にすえかねたグルマンの紳士淑女から待ち伏せされ角材やら鈍器にて闇討ちに遭わないとも限らないので、若干の描写も加筆致しましょう。

店内は、大衆食堂そのまま。三和土にテーブルが数卓置かれ、天井近くにテレビがあり、銭湯にあるような鏡が壁に設えられ、ガラス張りの棚には、焼き魚、煮物、おひたし、サラダ等が陳列されてあり、そこから、思い思いの小鉢を選んで持って行くというごくありふれたスタイルのお店であります。

まあ、大ごはんを註文すると“まんが盛り”(まんが日本昔ばなしに出て来るような山盛り)で出て来るというくらいでメニューにさしたる特徴はありません。

但しおでんは別です。勤め先からも、市内中心地からも、さらに言えば駅からも遠く懸け離れたこの大衆食堂までわざわざ赴くには訳があります。

そう。おでんが黒いのです。

…もとい、おだしが黒いのです。

高々黒いからってわざわざ足を運ぶなんて物好きな…と仰らないで下さい。ほぼ透き通ったおだしが主流の関西のおでんにおいてはとても珍しい事なのです。かといって関東風のおでんなのかといえばそうでもなさそうです。濃い口のおだし主流の関東のおでんですらここまで黒くないだろう、という程の黒さなのです。

おでん種を勝手に選んで皿に盛るというセルフ・スタイルの為、鍋が自由に覗けるのですが、これがまた、重油に浸けてるのかよ、と思うくらいだしが真っ黒でした。 ぐつぐつ煮込まれたちくわやごぼ天はもはやすり身の色ではありません。ブードゥーの呪いにかかった魚類でも使ってるのかと思うくらいのどす黒い色相を呈しているのです。


ちょっと写真では伝わりにくいか…(実際もっと黒いw)

こんな、褒めるどころか貶めているような表現ばかりですが、けっして不味いわけではありません。むしろその逆です。味は黒さに比例してよくしみ込まれています。じゃがいもも中までおだしがしみわたり、香ばしさまで感じる程なのです。ごはんがすすむ味わい。気付けば、白ご飯とおでん以外何も註文していませんでした(それだけで充分でした)恥をしのんで言いますと、皿に残ったおだしをご飯にかけて食べたくなる、抗い難い欲求が沸き起こる程の旨さなのでした。
この黒さはおそらく、今流行りの“静岡おでん”なるものに違いない(勿論、静岡おでんを食した事はないのですが)そう確信した私は店主に思いきって質問してみました。
「ご出身は清水とか焼津とかですかねぇ?」
店主「はぁ…」
「あ、浜松の方でしたか?静岡って広いですもんねぇ」
店主「わたい奈良でんねん」
「あー」

まったくかすりもしなかった。俺の目は節穴であうううう


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